ページトップへ戻る

クリニックブログ

トップページに戻る

水イボについて

2017年5月29日

こんにちは、ぎなん皮ふ科クリニック 院長 伊藤秀明です。

本日は『水イボ』についてお話しさせて頂きます。

水イボは正式な病名を『伝染性軟属腫(なんぞくしゅ)』といいます。

ポックスウイルスというウイルスによるもので、次回書かせていただく予定の

手足などにできるいわゆる『イボ』とは違い、光沢のある肌色や白色の丘疹(ぽつぽつ)が特徴です。

主に免疫のない幼稚園・保育園や小学生くらいまでのお子さんに感染します。

お風呂やプールの水でうつるわけではなく、擦った手で自分の体の他の部位を触ったり、

他のお子さんとプールなどでじゃれあったりビート板などを共同使用するなど『接触』でうつります。

放置しても半年~2年ほどで自然治癒することが期待できますが、

兄弟や他のお子さんにうつして感染が拡大してしまうリスク、特に裸で接する『水泳の授業』などは

学校によって『水イボに感染しているお子さんは遠慮してください』という場合もあり、

その場合には治るまでの半年間待っていると夏が終わってしまう可能性があります。

『早く治癒させる・プールに入るため』に治療を行うという選択肢もあります。

当院では

①摘除

②スピール膏を貼る

③液体窒素凝固療法

④ヨクイニン内服

という選択肢を提示させていただいております。

当院では①を推奨しており、病理組織上、傷跡を残さないように水イボを取りきれる摘除の仕方で行います。

痛みがありますので希望があれば『ペンレス』という麻酔テープを貼付して1時間待ってから行います。

②は角質融解作用のあるお薬の成分を貼るため周囲の健常皮膚まで融けてグチュグチュになるリスクがあります。

③は-196度以下の液体窒素を吹き付けて凍傷にする治療ですので凍傷後のシミが残るリスクがあります。

私の左手背には研修医時代(およそ10年前)に

『患者さんに行うこの治療はどのくらいの強さで行うと水ぶくれができるのか?シミや傷跡がのこるのか?』

ということを知るために健常な部位の自分の皮膚に液体窒素凝固療法を行ってできたシミが今も残っています。

自然治癒が望める疾患に対して摘除とそれほど変わらない痛みがあるとともに

このシミを残すリスクを負っていただく理由がないと考えているため強い希望がない限り行っていません。

④はハトムギの成分を内服するもので、痛みなどはありません。

しかし、粒の数が30kgのお子さんで1日12粒程度あるため飲みづらいことが難点です。

また、ヨクイニンの添付文書上『青年性扁平疣贅・尋常性疣贅』という疾患にしか効果効能がないとかかれている通り、私の経験上でも100人飲んでもらったとしたら片手で数えるほどにしか明らかな効果を発揮しません。

そのためこちらも強い希望がある場合にのみ飲んでいただくことにしています。

受診していただいた患者様にわかりやすい説明を行うことはもちろん、

このブログでも最新の情報や当院の方針を紹介していきたいと思います。