おはようございます、ぎなん皮ふ科クリニック 院長 伊藤秀明です。
当院は岐阜のクリニックで初めての生物学的製剤使用承認施設の認定をいただきました。
これは、
①皮疹が体表面積の10%を超える
②PASIスコアという乾癬の重症スコアが10を超える
③DLQIといって、乾癬により生活の質が著しく落ちている指標が10を超える
などの重症の尋常性乾癬で今までの外用治療や光線治療などで症状が安定しない患者様や
関節症性乾癬・膿疱性乾癬の患者様に対して使用を検討することがある点滴や皮下注射を行う薬です。
これまでは大きな病院において投与が開始され、症状が安定した患者様のみクリニックによる維持投与が認められていたのですが、
この5月よりクリニックでも
(i)皮膚科専門医が常勤している
(ii)常勤専門医が基幹病院等での乾癬診療において、過去に生物学的製剤の投与経験がある
(iii)導入前のスクリーニング検査は必ず近隣の承認施設に依頼し、導入後は承認施設あるいは近隣総合病院内科等と緊急時にも迅速かつ確実な連携がとることができる
の条件を満たすクリニックでは維持投与のみでなく、新規導入も可能となりました。
私は出身大学の名古屋市立大でミスター乾癬と呼ばれる、乾癬治療の第一人者の森田明理教授の指導の下、
乾癬に対しての光線治療や安全な生物学的製剤の投与について数多く学ぶ機会があり、
関連病院などをあわせて20名以上の患者様の生物学的製剤の新規導入に携わる機会をいただきました。
生物学的製剤の使用経験のある開業医はまだ少ないのが現状です。
私は、皮膚科専門医として自分の経験や先輩方から授かった知識を生かして
乾癬でお悩みの方に気軽に相談できるクリニックでありたいと考え、承認施設申請を行わせていただき、
今回、岐阜県のクリニックで初めて承認をいただきました。
https://www.dermatol.or.jp/modules/biologics/index.php?content_id=4
私の立場として、大原則として承認施設の病院で検査~安定して維持投与可能となるまでみていただき
維持投与をクリニックで行うのが安全面などを考えると望ましいということにはかわりありません。
しかし、仕事が忙しくて検査などに1、2回しか行けないという方の治療への扉を閉ざしてしまうことが
患者様のための皮膚科医療とは言えないのも事実だと思います。
そのような患者様に少しでも治療の選択肢を提示できるクリニックでありたいと考えています。
当院は皮膚科専門医として、症状の軽い方はもちろん、症状の重い方にも近隣の総合病院と
連携を取って治療にあたり、地域の患者様へよりよい皮膚科医療を提供していけるよう努めてまいります。